コタツ記事でも質の高い記事は書ける。押入れライターが伝えたい「コタツ記事」の現実。

コタツ記事でも質の高い記事は書ける。押入れライターが伝えたい「コタツ記事」の現実。

コタツ記事は質が低い。と皆、口を揃える。

確かに、取材して制作した記事よりも薄い情報しか記載されていないケースは多い。ライターとして活動している僕自身も

たけみや
たけみや

これは記事にするレベルじゃねぇだろ

という記事をたくさん見てきた。一昔前、コタツ記事は社会問題になっていたが、コタツ記事は未だ消える素振りを見せない。

そこで今回は「コタツ記事」というワードが若干薄れてきつつある今、あえてコタツ記事について考えてみようと思う。コタツ記事と近い文脈を感じるYouTubeの切り抜きが普及したこの時代だが、コタツ記事に何を思うのか考えてみたい。

そもそもコタツ記事とは?

コタツ記事とは「コタツでも書けるような価値のない記事」という意味を持つ単語だ。Webライターとして活動している僕にとっては、少し背筋が伸びるような言葉だ。

イメージがつかない方向けに、こんな記事がコタツ記事だという例をいくつか紹介したい。

  • SNSの情報を切り貼りした記事
  • 取材をしていない記事
  • (写真が全く使われていない)地域情報や商品のまとめ記事

おそらく、ほとんどの方がこういった記事をこれまでにみたことがあるだろう。それが、いわゆるコタツ記事だ。

たけみや
たけみや

ちなみに、100円ライターが執筆するようなコピペで制作したニュース記事は省きます。これらは記事制作ではなく「複製」だと考えているからです。事前にご理解ください。

コタツ記事が悪だと言われている理由

実は、大昔前にこんな記事を書いていた。

コタツ記事には価値がない?現役Webライターが問題点を解説!
2024年のたけみやこの記事は大昔に書いた記事ですが、割といいこと言っていると思うので、少し調整してもう一度投稿しようと思います。 世の中の流れ的に「コタツ記事…
takemiyanoblog.com

少し調整して、再投稿したのだが、

この記事でもコタツ記事が悪だと言われている理由について説明した。興味があれば読んでほしい。

要約すると、こんな感じ。

  1. 読者に誤解を与えている
  2. 薄い情報しか取り上げられていない
  3. ライター(メディア)の評価を下げる

つまり、読者にもメディアにも価値のないことをしているから「コタツ記事=悪」といわれているのである。

コタツ記事が増え続ける背景

基本的にはこのような理由で、コタツ記事が増えている。

  • 記事の制作に時間がかからない
  • コストがかからない
  • 儲かる

例えば、取材記事を制作する場合、取材相手へのアポ取りと移動、取材の時間が必要になる。そして、それらを行う人間への給料、取材相手への謝礼、交通費などが必要となる。組織的に運営を行っているメディアだとしても多くて1日1記事が限界、通常1週間で1記事ほどしか製作できないだろう。さらには、1記事に5~10万円ほどのコストがかかる。

一方、コタツ記事の場合はライターが家でカタカタと作業をすれば良いだけだから、相手はいないし、移動もない。大量のライターを雇えば、1日100記事を量産も難しくはない。

さらに、そこにかかるコストは大幅に削減できるから、1記事数千円程度で制作することも難しくない。悪徳な会社(もしくは企業努力と称賛すべきか)なら、3,000文字で300円とかいう低単価で記事の制作を依頼できるのだ。

いわば、大量生産・大量消費の流れをそのまま受け継いでしまっている。だから、コタツ記事は今日も、今この瞬間も増え続けている。

コタツ記事は悪なのか?僕の見解

僕が今、考えたいのは「コタツ記事は悪なのか」ということだ。だが、この話は少し複雑な構造を持っており、いわば、三角錐。(三角柱でないのは、上に向かうにつれて面積が小さくなるから。高みを目指すにつれ劣悪な構造になっている例え。)

だから、以下3つの側面を考えなければならない。

  • メディア運営者
  • ライター
  • 読者

詳しくみていこう。

メディア運営者

まずは、メディア運営者の面について。この側面においてコタツ記事を推奨しているメディアは悪だと思う。なぜなら、記事をアップロードする親玉が腐っていると、ついてくるライター、読者全てを不幸にしてしまうからだ。

よくあるのは

お客さん
メディア運営者

今月は100記事お願いします。単価は3,000文字を1記事2000円で。

という依頼内容。翻訳すると「質は低くていいので、大量の記事が欲しいです」ということ。この要望を満たすために、ライターはコタツ記事を大量に執筆しなければならない。そして、読者は質の低い記事を読むことになるため、カスタマーは誰も幸せにならない。

唯一、メディア運営者は幸せになるケースがある。PVを取れればいいから、うまくいけば、この運用方法で成功は可能する。だが、体力が持つのはいつまでだろう。安く買い叩かれているライターが声を上げれば、メディアは腐っていき、最終的には誰も幸せにならない。

IT土方構造もやばい

正しい運営方針をとっているメディア運営者でも、コタツ記事を推奨してしまうことがある。それは「IT土方構造」だ。IT土方というのは、仕事をそのまま下請けに流し手数料をとる構造のこと。

例えば、元請けのA社が

悩める人
A社

1記事5万円でお願いします!ただし、質の高い記事をお願いしますね!!

という依頼を行ったと仮定する。しかし、それを受けたB社は、その下のC社に

お客さん
B社

C社さん。1記事1万円でお願いしたいです!

というように、下請けに流していくのだ。それが続き、最終的に末端のWebライターへ流れる頃には1記事2,000円とかになったりするわけだ。というか、8割方これだと思う。

で、2,000円で書かされるライターは、十分な記事を執筆できず消耗するため、AIを使ってライティングしたりする。そして、A社は質の高い記事を獲得できず、不満を抱え、他の会社に依頼する。他の会社もIT土方で良い記事が獲得できないという構造が生まれて、堂々巡りになるのである。

この構造がマズいのは皆わかっていて、辞めればいいのだが、うまくいけば大金を稼げるから、知らずのうちに(知ってか)コタツ記事量産の加害者となっているのだ。

もちろん、元請けのA社は「ちゃんとした記事を作ろう」としているから、全く悪ではない。むしろ、このような思考のメディアが増えればいいと思うばかりだ。

ライター

次に、ライターの立場における「コタツ記事」について。これは悪だが、場合によっては良い場合もあると思う。

まず、悪パターンについて。以下のような可能性が考えられる。

  • ライティングが面倒くさいからコピペで記事を制作する
  • みんなやっているからとコタツ記事を制作する
  • AIで記事を制作する

自主的に低品質の記事を生み出し、大量に執筆してお金を稼ごうとするなど、記事制作において何の思考もなく作業を行うのは悪パターンだ。

たけみや
たけみや

ライターと名乗って欲しくないほどで、、本当に軽蔑します。

だが一方で、こんなコタツ記事なら読者にもお客様にも価値を届けられるから、良いと思う。

  • わかりづらい情報をわかりやすくまとめる
  • ライターの思考が含まれている
  • その分野に博識な人が書いた記事

つまり、コタツ記事が悪いのではなく、低品質な記事が悪いということ。もちろん、前に紹介した質の低いを量産する方針のメディアや、IT土方構造に巻き込まれて制作しているケースもあると思うが、プロのライターなら、価値のある記事を作り続けなければならないし、巻き込まれないようなムーブをする必要があると思う。

読者

最後に、読者の側面についても。残念なことに日本人の読解力は年々低下しており、伝えたいことが伝わらないケースは多い。

たけみや
たけみや

弁解しておくと、このブログを読んでくれている方の読解力は全く問題ないと思います。分析ツールで記事の滞在時間がわかるのですが、1記事平均3分としっかりと読んでくれている方が多く、内容を正確に受け取ってくれていると思います。(僕の筆力がなければすみません)

そして、そういった属性の読者は、悪徳な記事や釣りタイトルにすぐ騙される。そして、釣り記事こそ、コタツ記事の温床となるため、どうにかできるわけではないが、知らずのうちに悪に加担している読者は多いのだろう。

さらにいえば「Web」そもそもが

悩める人
Webを見る人

無料でインスタントに情報を収集したい。
できるだけ早く知りたい。

という人が多いから、コタツ記事が生まれやすいのである。紙媒体(Webと若干被る週刊誌を除く)ではお金を出して本を購入するため、コタツ記事は生まれにくいのだが。

3者のニーズは三角錐の頂点に向かう

ここまで読んでもらうとわかる通り、3者のニーズは「楽したい」という三角錐の頂点に向かいがちなのだ。

メディア運営者:大量に安く記事を作りたい
ライター:できる限り楽に稼ぎたい
読者:無料で早く情報を収集したい

だからこそ、誰かがその流れを止めなければならないと思う。僕は、このブログを読んでくれている方にはそのサイクルに巻き込まれて欲しくないと思っていて、、若干難しい表現をしたり、長文で執筆したり、難しいテーマを取り上げたりしている。もちろん、僕自身が渦に巻き込まれないように、SEOをほとんど意識しないことも心がけている。

僕もコタツ(押入れ)で記事を生み出している

僕はコタツで記事を制作しているわけではないが、ほぼ同じ役割をしている場所がある。それは押入れ。

寒い時は電気ヒーターを使ってぬくぬくと作業ができるし、お腹が空いたら横の引き出しからみかんを取り出して、小腹を満たすことだってできる。

そんな押入れで作業をしているわけだが、ここから世界に価値を届けられることに誇りを持って仕事をしている。他の人から見れば、家賃3.8万円のボロアパートで「一生春日の人」と言われたこともあるが、僕にとっては、最も落ち着く場所であり、同時にここでなければ価値のある記事を提供できないと思うほどだ。

このブログについては、自分が勝手に執筆しているだけだから、悪いコタツ記事を生み出すことはないが、本業のWebライターの仕事においては、コタツ記事制作に巻き込まれてしまう場合があると思う。そのことは頭に入れつつ、絶対に価値のあるものを届けたいので、今回紹介した「悪いコタツ記事」には手を出さないよう、覚悟を持って自衛しなければならない。

これからも押入れで記事を作り続ける

これからも押入れで記事を作り続けたいと思っている。が、少し怪しい雲行きであったため、この記事を執筆することにした。

というのは、今現在、僕が悪いメディア運営者に捕まりつつあるからだ。僕は悪いコタツ記事を制作したくないので、採算度外視で記事を制作しているのだが、そういうマインドで真面目にやっている人にとっては、ぶっちゃけ、やばい仕事だと思う。

具体的には、3〜4時間作業して2,000円とかの報酬であり、要求されるレベルが高すぎる。1記事3万円といわれてもおかしくないと思うくらいだから。(多分IT土方)

なので、そのメディアに関しては次依頼が来ても受けないことにした。でも、この頑張りを無駄にするのは……と思い、今回「コタツ記事」というテーマで取り上げたのだ。こういうメディア運営者が少しでも減ってくれればなと思うが、僕がいなくなったら次の犠牲者を探すだけだから、変わらないのだろう。

まとめ

今回は、コタツ記事について再度考えてみた。以前「コタツ記事について」執筆した時は、ライターを始めたばかりだったと記憶しているから、以前よりはおそらく高い解像度で「コタツ記事」について考えられていると思う。

コタツ記事は複雑な構造が生み出す負の遺産だ。途中で誰かの力によってストップさせなければ、どんどん酷くなっていく。おそらく、この記事を執筆している2024年が過去イチ酷い状態だと思う。

僕1人の力では何も解決できないが、せめて僕が運営する「押入れの暮らし」は……と思い、最近は読み応えのあるテーマを扱い「オールウェイズレベルの高い記事を量産してくれる(あの人と出身同じです)」メディアを目指している。

もし、興味を持ってくれたら、少しでも遊びに来ていただければ嬉しい。読んでくれる人が増えれば、レベルの高い記事を毎日投稿していけるので。