個人ブログはSEO対策を意識しないほうが良いかもしれない。

個人ブログはSEO対策を意識しないほうが良いかもしれない。

僕の本業はWebライターだから、SEOについては一般的な人よりも知識を持っていると思う。

これまでに1,000以上の記事を執筆してきたが、その中でも70~100程度の記事で検索上位表示(1~10位)を取っているから、もちろんSEO対策の良さも理解している。

SEO対策を行うことで、そのブログに最適化されたユーザーが訪れるため、見込み客を獲得できる。そしてそのユーザーに商品を売ることで「売れやすくなる」というのも非常にわかりやすいロジックだから、僕もこの意見に大きく賛同していた。

だが最近は、

たけみや
たけみや

これって個人ブログにはあてはまらないのでは?

と思うようになってきた。5~6年前ならSEO対策で上位表示を狙うのが個人ブログの戦略だったが、その常識も時代とともに変わってきていると。しかし、そのことに気づいていない人も結構多いのではないかなと。

今回は、個人ブログはSEO対策を意識しないほうが良いかもしれないというテーマで記事を書いてみようと思う。弱小ブロガーが何を?と眉を顰める方もいるかもしれないが、せっかくここにたどり着いてくれたのなら、1つの意見として吸収しようと試みてほしい。食すのが難しければ、あとで吐き出していただいて構わないので…

個人ブログの読者層は時代によって変化している

「個人ブログはSEO対策を意識しないほうが良いかもしれない。」と思う理由は4つある。

  • 昔はブログ文化が根付いていた。が…
  • BtoBは制約があるからブログを読む
  • 本当に「文」を好む人こそがブログを読む
  • SEOコンテンツは資産にならない

こんな感じかな。1つずつ詳しく解説するので、少し考えてみてほしい。

昔はブログ文化が根付いていた。が…

ブログが文化として生活に根強く普及していたのは2000年頃だといわれている。僕はその時代に生まれていたわけではないし、その当時の雰囲気を知っているわけでもないから、実際の状況はわからない。

だが、2003年〜2004年にブログブームがあり、livedoorブログやはてなブログなどのサービスが立て続けにリリースされたことを考えると、やはり流行っていたと言わざるを得ないと思う。加えて、2005年には「ブログ」が流行語大賞にノミネートされたらしい。

その時代はYouTubeなんてそこまで人気ではなかったし、動画を閲覧できる環境もあまり整っていなかったから、動画はない。また、今では使用人口の多いSNSも2003年頃に米国で生まれたサービスだからそこまで普及していなかった。

だから、テキスト文化が一般的で、ブログも多くのユーザーに閲覧されていたようだ。

一方で、現代はむしろYouTubeやSNSが普及してきている。そもそもブログなんて読む人の方が少ないのではないだろうか。現代のコンテンツ市場でブログは超マイナーな文化になってしまった。

BtoBは制約があるからブログを読む

以前のブログは大衆向けのサービスだった。総務省の調査でも明らかなように、多くの一般消費者によってブログは閲覧されていた。

しかし、現在は違う。動画やSNSなど幅広いコンテンツ市場が生まれたから、そのパイは分散してしまった。単純計算でも3分の1。おそらくもっと多くのユーザーが流れていってしまったはずだ。

ここで考えたいのは、「誰がブログを読んでいるのだろう?」ということだ。その答えを導き出すためには、まずブログを閲覧する環境について考えてみなければならない。

まず、ブログを閲覧する層というのは以下2つに分かれると思う。

  • ブログの閲覧は趣味
  • ブログの閲覧は情報収集

まず、趣味で閲覧しているという人について、後述するが人口の推移は少ないと考えている。これらに属する人は「文を読むこと」が趣味であり、活字であることに魅力を感じる人なのではないだろうか。

次に、ブログを閲覧する目的が情報収集の人について考えてみよう。結論をいうと、この部分が「個人ブログはSEOを意識しなくても良い」という論の根拠となっている。

まず、情報収集のためにブログを閲覧する人というのはどういう人だろうか?例えば、自社が運営しているブログを成長させたくて、どうすればサイトが多くみられるかを知りたい人や、お気に入りの飲食店を探している人などが挙げられるだろう。

まず、前者のようにビジネス・学習のためにブログを閲覧している人は、なぜ「ブログ」という媒体にこだわるのかというと、多くの場合(おそらく5割以上)は会社の業務中に情報を収集するためにブログを閲覧しているからだろう。もし、動画で情報を収集しているのなら、上司からサボっていると思われ、怒られる可能性があるからだ。ここに制約が生まれている。しかし、文章ならその心配がない。

もしくは、情報収集をしている人の中にも文章で学習することが好きな人はいるかと思う。この人については、前述した「ブログの閲覧は趣味」という人と近い位置にいるため、個人ブログのお客さんになる可能性があるから、一旦置いておこう。

つまり、ビジネス的な観点で情報を紹介しているブログについては、顧客がオフィスでブログを閲覧しているシーンを想定する必要がある。オフィスで情報を収集したい方はSEOキーワードで検索するし、できる限り素早く情報を収集したいと考えているから、SEOに最適化されたコンテンツの制作は誤った手法ではない。

ただし、そういった分野に関しては競合として大企業がいて、莫大な費用をかけていることを忘れてはならない。

次に、お気に入りの飲食店を探している人について考えてみる。この人は「今美味しいご飯が食べられる店を探したい」というニーズを持っていると予想できる。この人は行き当たりばったりで検索をかけているため、できる限り少ないスクロール数で検索できる記事。つまり、上位表示された記事を閲覧すると考えられる。

また、追加で把握しておきたいことがある。その人たちはコンテンツがどの媒体で紹介されていたとしてもとにかく情報を素早く手に入れたいため、Googleマップが競合になるということだ。加えて食べログなどの超大手企業も1位の座を退かないため、ここでSEO対策に取り組むことは難しいと考えられるだろう。

長くなったが、「ブログの閲覧は情報収集」というユーザーに対してコンテンツを届けるブログについてはSEO対策が必要ではあるが、競合には大手企業が居座っているため、SEO対策という観点で太刀打ちすることは難しいと考えるべきだろう。

だからこそ、個人ブログではSEO的なアプローチで戦うことが向かないと考える。

本当に「文」を好む人こそがブログを読む

「ブログの閲覧は趣味」というユーザーについても考えてみよう。この中にも、よりインスタントなコンテンツ(受身的に情報を収集できる)であるYouTubeやSNSに流れた人はいるだろう。その人は個人ブログの見込み客にはならないから、一旦置いておいたとして、、とはいえ、本屋が潰れないことを考えると、純粋に「文章が好き」というユーザーも一定数いると考えられる。

もちろん、紙の書籍が好きというユーザーもいるとは思うが、PR TIMESが実施した電子書籍の利用実態調査によれば、55%が電子書籍を利用していた/していると語ったため、電子的な文章に抵抗がない人=ブログの見込み読者層はいまだ少なからず存在しているのではないだろうか?

つまり、僕たち個人ブロガーは、この層をターゲットとしてコンテンツを制作する必要があると思う。文章が本当に好きで、ゆっくりと滞在してくれるユーザーを少しずつ増やしていけば、滞在率や周回率、クリック率といったSEOで重要な観点も同時に満たしていくことができるはずだ。

そして、もう1つ伝えたいことがある。それは、文章が好きでわざわざブログを使っている方にとって、SEOゴリゴリの記事は、迷惑以外の何者でもないということだ。これは僕自身の感想と、周囲の方々にインタビューした情報なので真偽はわからないが、皆口を揃えて「同じような記事ばかりだね」と言う。

確かに現代のコンテンツはどれも構成が似たり寄ったりで、網羅性を意識しすぎるあまり、どれを読んでも同じような情報しか得られないようになっている。興味深い記事を探しているユーザーにとっては、こういったコンテンツを閲覧することが時間の無駄になるので、避ける傾向にあるのだ。

だから、読んでもらえる個人ブログを作るためには、他のブログにはない切り口で、興味深いコンテンツを制作するのが最も良い方法だと思う。

声の大きい方々がブログ=SEOとと言っていて、それで成功している姿を見ると、正しいと感じるかもしれない。しかし、その人たちが成り上がってきたのは5〜10年前と言うことを忘れないようにしたい。僕たちは、先人たちの知恵が今のシーンでも使えるのかと、疑問を持たなければならないはずだ。

SEOコンテンツは資産にならない

SEOを意識するあまり、キーワードを盛り込んだコンテンツは資産にならない。なぜなら、そういったコンテンツは競合他社が容易に真似できるため、すぐにドメインパワーの強いサイトに抜かされてしまうからだ。例えば、とあるモノをSEO対策ゴリゴリの構成で紹介した結果、アクセスが増えることもある。

その一時はアクセス数が増えて、ブログが多くの人に読まれているように感じるが、数ヶ月経つと、そのアクセスは徐々に減っていく。なぜなら、より大規模なサイトがその商品を紹介し、順位をいとも簡単に抜かされてしまうからだ。

この手法の場合、どうしても個人ブログで高いアクセス数を維持したいなら、常に最新の商品を購入し続け、コンテンツを作成し続けなければならない。いわゆる掛け捨て型のブログになってしまう。この状態ではユーザーと長期的に関わることが難しい。

実際に大手企業のWebサイトでコンテンツを制作していて思うが、どれだけ大規模になったとしても同じようなコンテンツを作り続けている。(大手SEO会社がSEOとは?というコンテンツを再度作ったり。)彼らはお金があるからそういったことを実行できるが、個人ブログには到底難しいため、個人ブログがSEO的な観点で挑戦するのは向いていないというわけだ。

一方で、SEOを意識せず制作したコンテンツには、制作者特有の味が生まれる。その独特な切り口で書かれた記事が大量に集まれば、「この記事も気になる。この記事も、この記事も。」というように、1人のユーザーがブログ内で多くのコンテンツを消費してくれるようになる。

ここまで来ればシメたもの。他の人には真似できないブログができあがるから、着実にファンが増えていくはずだ。

まとめ

今回は、個人ブログはSEO対策を意識しないほうが良いかもしれないというテーマで記事を書いてみた。SEO対策はアクセス数を増やす手段として昔から使われているが、今のシーンではあまり効かなくなってきていると思う。

それは、今回紹介したように大手企業がブログに参入しており、個人ブログには太刀打ちできないからなどが理由だ。僕たちブロガーは読者に興味深いコンテンツを届けるため、独自の切り口で記事を制作する必要がある。

SEOに頼ってばかりのコンテンツを制作していると、どれも同じような内容になり、読者を裏切る結果になるだろう。極論、離脱率が高まり、SEOに悪影響を及ぼすことすらあると思う。

この記事は、SEO対策にとらわれすぎていた過去の自分へ向けて書いています。備忘録的に書いていますが、もしかしたらまたSEOに目覚めるかもしれません!