副業期間も含めると、4年ほどWebライターとして活動している。最初は右も左もわからず、1記事(3,000文字)執筆するのに8時間かかっていた。
しかし、そんな僕も最近は流石に慣れてきた。4年と合計1,000本以上の経験によって、3,000文字の記事なら1時間程度で執筆できるようになって”しまった”。
もちろん、素早く執筆できるのは良いことなのだが、当初よりも作業が「雑」になったことは否めない。無意識で執筆してしまうなんてこともある。
そして、その中の1つにWebライターとして活動する上で、とても重要なことも含まれてしまっていたのだ。
ちょうどこの記事を執筆しはじめた昨日、そのことに気がついたので、備忘録として書いていきたいと思う。
Webライターとして活動している方にはよくある悩み、もしくは挫折ポイントだと思うので、ぜひ参考にしていただきたい。
重要なことにあらためて気がついた
この記事の結論だが、僕が忘れてしまっていたのは「クライアントの先にお客様がいる」ということ。Webライターをはじめた当初からずっと気にかけていたつもりだったが、いつの間にかすっかりと忘れてしまっていたのだ。不覚。
なぜ、すっかり忘れてしまっていたかを再度考えてみたところ、次のような理由があるのではないかなと感じている。
- 多忙だった
- クライアントから褒められることが多く、価値を提供できていると慢心していた
- 記事のFBが少ない環境で執筆していた
まず、この状況が発生してしまった現況は、間違いなく「多忙だった」ということに起因している。納期が迫っている時は1日10記事執筆することもあり、その中でクライアントのその先を意識することは非常に困難だったのだ。
その期間のことは正直あまり覚えていないほどだ。記事制作が流れ作業のようになっていたと思う。目の前にあるベルトコンベアーに記事の構成が流れてきて、それに合わせて僕が文字というパーツを載せていくだけの作業だったように感じる。
そして、流れ作業のように記事製作を行っていたにもかかわらず、クライアントからの修正依頼を受けることはほとんどなかった。これは、後ほど考えると「良くも悪くもない記事を制作しているから、何も言われなかった」だけなのだが、、
その時は「こんなに楽に作業をしているのに怒られないって、俺天才なんじゃない?」と本気で思っていて、、今思えば慢心だったなぁと後悔している。
さらに、悪い記事に対するFBだけでなく、良い部分についてのFBも全くない状態だったから、向上心は見事に欠如していた。「何時間で1記事執筆できるか」「時給はいくらか」という自分の利益しか考えていなかった。(もちろん記事クオリティの最低ラインは担保していたが、、)
大量に記事が発注される→適当にこなす→クライアントからは全く叱られない→FBもない→俺最強なんじゃない?
という考え方で作業をして、1年ほど続いた。流石に作業量が多すぎて、頭がパンクしてきたので、最近はしばらく記事制作の依頼をセーブした。
そう思ってからは、月に30本を目標に執筆する日々を。1日1〜2時間程度の作業で仕事を終え、他はYouTubeを見たり何かを考えたりと、自分の疲弊した心を回復させるための時間に費やした。
毎日1記事執筆するだけの日々なので、余った時間を考えることに割り当てられたのだ。
暇な時間で考えた結果「クライアントの先にお客様がいる」ことを思い出せた。
クライアントの事ばかりを考えていた
クライアントのことしか考えていなかった
という部分を、より詳しく見ていこう。
まず、Webライターに記事制作を依頼するクライアントのニーズはこんな感じ。
- SEO対策で上位表示を狙う
- 自社の魅力を伝えたい
- 早くSEOで成果を出したいから大量に記事を書いてほしい
このニーズを満たすために、Webライターである僕は、クライアントに適応することを考えた。具体的にはこんな感じ。
- SEOゴリゴリの記事を制作する
- 会社の魅力をセールスライティングゴリゴリで書く
- 大量に記事を書く(1日10記事とか)
もちろん、これもWebライターとして生き残るための戦略ではあると思うが、、
ここで注意しなければならないのは「それによって生まれる記事はあまりエコではない」ということだ。そして、その環境が蔓延ると、劣悪な労働環境を助長することにつながる。
- 記事を大量に作成する
- 記事単価が低くなる
- ライターは記事制作にかける時間を短縮しようとする
- AIとか使って質が下がる
- 質の低い記事が出来上がる
- 質の低い記事は順位向上に役立たない
- 新規記事を作るか、リライトしなければならずコストがかかる
- 繰り返し
この流れに則って、ライターとして活動してみると、、作業の疲労感はあるものの、これでも十分な収入を確保できる。僕のように、このスタイルが楽な人にとっては、別に全然稼げるから不満はない。
しかし、このやり方で出来上がるのは、自然淘汰されていく質の低い記事だ。自然淘汰される理由は、クライアントの先にいるお客様に全く価値を提供できないから。
分かりづらい記事が大量にでき、それに対抗する他社の分かりづらい記事ができる。勝つためには数の暴力で記事を量産しまくる。それに対抗するためにまた他社が大量の記事を作る。
この渦の中に「記事を読むお客様」はいない。醜い争いを繰り広げている「クライアント」だけなのだ。
クライアントの先にはお客様がいる
クライアントの先にはお客様がいることを忘れていた僕は、次のような記事を生み出していたと思う。
- 誰でも書けるノウハウ系の内容
- 具体例が一切なく、歯応えが全くない
- わかったようでわからない内容
- クライアントの専門性を示すため、あえて専門用語を使っていてわからない
もし、ゴリゴリのSEO対策を行い成功したと仮定する。しかし、上位表示されたとしても、その記事を訪れたお客様が内容を読んだとき、どう感じるだろうか。
あまり価値を感じてもらえないのでは?
と考える。離脱率が向上し、クライアントにも不利益が発生することに気付いている人は、少ないかもしれない。というか、言葉では理解していたとしても、本当に理解している人は少ないと思う。
初期の僕も言葉は理解していたが、本当に腹の底から理解できていたかと言われれば、否と答えるだろう。
お客様に対して記事を書くとは
お客様に対して記事を制作することはとても難しい。実際によく深く考えてみると、思っている以上にお客様に対して、質の高い記事を提供できていないことに気づく。たとえば次のような内容があると仮定する。
SEO対策とは、Googleで上位表示を狙う対策のことです。キーワードや共起語、関連キーワードなどを含めて記事を制作することによって、Googleがコンテンツを質の高いものだと評価し、上位表示してくれます。
これでも、SEO対策についてある程度の知識は示せていて、わかりやすいとは思う。しかし、そこには本質が書かれていない。
SEO対策を行うことでどのようなメリットがあるのかや、なぜキーワードを記載することによって上位表示されるのか、または、次行うべき具体的なアクションが全く記載されていない。
それにより、読者はどこか肩透かしを喰らったような状態になってしまう。
たとえば、ここに1文。
Googleは、アルゴリズムで分析を行っており、キーワードをロボットが認識することによって、上位表示するかを決めている。そのため、キーワードを適切に配置している記事は上位表示されやすくなるのだ。
また、以下のように、次のアクションを起こしたくなるような内容を含めれば最高だ。
SEO対策を狙って記事を書く場合には、キーワードの含有率を5%程度にするのが良いと言われています。そして、共起語もH3見出しに1つもしくは2つ以上を自然に含めることで、評価されやすくなります。SEO対策を狙う場合は、参考にしてみて欲しいです。
こんな感じ。少し情報を(具体例)を含めるだけで、内容が華やかなものになった。
クライアントのことしか考えていなかった僕は「読者にとって分かりやすい内容を書く」ことを忘れてしまっていた。今さらかもしれないが、質の高い記事を執筆するために、このことを意識したいと考えている。
そして、このモチベーションで作業をすることで、Webライティングの楽しさが何倍にも増大することがわかった。それは、記事の向こうにいるお客様に直接メッセージを送れているような気がするからだ。
モチベーションを維持するという意味でも、この考え方で執筆していきたいと思う。
まとめ
この記事では、クライアントの先にいるお客様のために記事を執筆することに、改めて気がついた話をした。この話は、Webライターを始めたての方にとっては「当たり前のことじゃん!」と感じられるかもしれないと思う。しかし、僕自身もずっと考えてきたつもりだったが、実は考えていたよりもずっと深いところに「お客様に役立つ内容」というものがあったのだ。
今回の気づきを大切に、これからの記事制作に取り組んで行きたいと思う。Webライターを志している方や、すでにライターとして活動している方にとって、少しでも役立つ話だったら幸いである。