【押入れの歴史】日本古来の考え方と現代の使われ方について

【押入れの歴史】日本古来の考え方と現代の使われ方について

押入れは、和室の部屋に設置されている「クローゼット」です。あえて英語的な表現をしましたが、まさに、外国のクローゼットと同様の役割を持っています。しかし、「和室より洋室の方がいい」という方は多くいらっしゃいます。そのため、押入れ自体がないという住宅も多いのではないでしょうか。

とはいえ、クローゼットにはない押入れだけの魅力があるのも事実。本記事では、押入れの歴史や現代の押入れの使われ方について紹介します。

ただものを放り込むだけでもいいですが、せっかくなら押入れの歴史を知って、もっと別の活用方法を試してみませんか。

押入れの歴史

押入れが庶民の生活に取り入れられたのは、江戸時代後期、もしくは幕末あたりと言われています。しかし、17世紀の庶民に関する情報は少なく、押入れが本当に使われていたのかは疑問が残ります。ですが、1823年頃の千葉県田中村では平面図に「押入れ」という名称で出現しているため、この頃には確実に押入れがあったといえます。また、このことから考えると、幕末に出現したと言えるのではないでしょうか。

ただし、その時代に全世帯で押入れが普及していたとは考えにくいです。なぜなら次のような理由があるからです。

17世紀〜18世紀において、押入れは布団を入れる場所でした。そのため、押入れがある家=布団がある家ということになります。

しかし、江戸時代が終わるまで布団は高級品として扱われていた事実があります。吉原の遊郭で使われていた「三つ布団(3枚重ねの布団)」は50両〜100両の値がついていたそうで、現代のお金になおすと500〜1,000万円の費用がかかっていたようです。当然、庶民には手が出せない代物。

このことから考えれば、押入れを使用していたのは身分の高い武士や公家など、もしくは吉原の遊郭ほかありません。

つまり、江戸時代当時のことを考えると、押入れは身分が高いことを示す一種のステータスだったと言えるかもしれませんね。そこから庶民の生活に降りてきたのが明治時代ごろなのではないかなと解釈しています。

現代の押入れの使い方

江戸時代には高級住宅にしかなかった押入れですが、現代では押入れを好まない人の方が多い印象です。とはいえ、押入れは使い方によって様々な表情を見せてくれます。

ここでは、押入れの使われ方について3つ紹介します。

服を収納する

クローゼットとして服を収納している方も多いようです。そのまま服を畳んで置く人は少ないかもしれませんが、何か別のケースに入れて押入れの中に収納している方は現代でもたくさんいます。

また、押入れに大きな突っ張り棒を設置し、服を掛けるスペースとしている方もいます。

スペース的に「クローゼットを部屋に置きたくない」という方がクローゼットとして押入れを使っている印象です。

あらゆるものを収納する

押入れにルールはありません。とにかく大量のものを収納し、部屋をきれいに見せているという方も多いのではないでしょうか。

事実、押入れの中がぐちゃぐちゃという方も多いでしょう…

これは、物自体が少ない江戸時代には考えられないこと。押入れの「隠せる」というメリットを使った現代ならではの使い方だといえます。

作業用デスクとして活用する

押入れをデスクとして活用する方法もあります。あまりメジャーな使われ方ではありませんが、一定の人気を誇っているようです。かくゆう僕自身も押入れをデスクにして作業をしています。

[char no=”1″ char=” たけみや”]ちなみに、僕が押入れをデスクにしているのは、1か所で完結する場所を作りたかったから。
本業はWebライター。基本家で仕事できるので、その他の趣味やご飯も1か所でできたらいいなと思って環境を構築しました。[/char]

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押入れの歴史を知り、有効活用しよう

本記事では押入れの歴史を紹介してきました。江戸時代は高貴な住宅にしかなかった押入れも、現代は和室住宅に普及しています。しかし、その一方で「和室よりも洋室がいい」という方が増えてきました。押入れ自体に魅力を感じない方が多くなってきたように思います。

しかし、万能スペース「押入れ」は様々なものを収納できるというメリットがあります。また、デスクとして活用する少し変わった使い方も可能です。今住んでいる場所に押入れがある方はぜひ様々な使い方を試してみてください。そして、押入れの歴史を理解した上で生活すると、少し楽しくなれるかも。そんな気がします。