F氏とのお話で気づいた、すり替え力について。

F氏とのお話で気づいた、すり替え力について。

日ごろから仲良くしている大学時代の先輩F氏。

彼が展示をするときは、いつも車を出して搬入出のお手伝いをする。いつも僕がこの役割を任命されるのはとても単純な理由。

車を持っているから。

あんな小さなミラジーノですら搬入に役立つほど、東京に住んでいる知人はみな車を持っていない。ハイエースを1日レンタルすれば、1万5,000円はかかるだろうか?軽トラでも1日6,000円?

それを借りて作品を積み込み、手伝ってくれたからといって謝礼を渡していたら、結構な金額を要する。それなら、「たけみやに任せれば安く済むじゃん」ということで、いつも僕とミラジーノに依頼が来る。

彼からすれば、安く済むとはいえ、搬入費としていくらかの金額とご飯代をもらっているから、僕はめっちゃラッキーという感じ。とても好きな仕事だ。

僕的に別に損をするような金額でもないし、話しながらちょっと手伝うだけでお金がもらえるので「割が良いバイトだなー」と思って快く仕事をさせてもらっている。

搬入が終わって「ひと仕事終わった~」と落ち着いていると、気づけば搬出の日になっていた。

搬出後は「激安焼肉の安安」もしくは「横浜家系ラーメン」に行き、エネルギーを吸収する。F氏は最近グルテンフリーにはまっているらしく、日々小麦のことを意識しながら生きているらしい。

しかし会食は別で、全然小麦を食べる。しっかり塩ラーメンを食べてた。

あと最近、F氏は肉を食べるのを辞め、魚を摂取しているらしい。これも、会食では別らしい。

彼は何かと辞めている。

アルコールはレモン入り炭酸水に変えて、今や一滴も酒を飲まなくなった。

昨日伺ったらなぜか、ジンジャーエールにすり替わっていた。バーテンをやっていたはずの彼はどこにいったのやら。でも、キッチンの上の棚にカクテルシェーカーがあった。バイトで使っていたものだと。酒好きの彼はそこにいた。しかし、それすらなぜか僕にプレゼントしてくれた。

あと、エビスビール6缶、2020と書かれたワイン、冷凍庫にずっと入れていたキンキンのSMIRNOFFまで。

彼の自宅に酒気を帯びたものは、1つもなくなってしまった。

タバコはそれよりも前に辞めているが、その時話していた

「ピルクルはタバコと同じだから、ピルクルに変えた」

という話は、いったん納得したが、いや、全然わからない。

彼は「吸う」行為が同じだと主張をするが、いや、それよりも喫煙者はニコチン・タールとかが好きで吸っているのではないかとか思う。しかも、結局ピルクルを買いに行くのすら面倒くさくなったそうで、ピルクルも辞めている。

段階的に辞めることに成功していた。

この異様な行為は全然わからない。しかし、どこか理解はできるので、その話をした。

話をする中で「すり替えですね。」という単語が出てきて、僕もF氏も納得。

すり替え?

彼は「ストレスを何か別の方法で解決しているんだ。俺の中では、これを辞めて何かにすり替えることで、もう仕事のストレスのことなんて考えなくなるでしょ?」

という。

確かに。続いて。

「だって、みんな会社でストレスを感じて、モンスターハンターで悪いことしてないモンスターを倒してストレス発散してるんでしょ。それって、別にモンスターを倒したからといって、ストレスの根源は変わってないよね。じゃあ、ストレスがたまったからグルテンフリー生活してもいいじゃん?」

「え、でも、グルテンフリー生活がそもそも辛くないですか?それでストレスないんですか?」

「いやー最初はつらいかもしれんけど、小麦を食べなくなったら、今日も小麦を食べなかったから幸せ。今日もできた!って、毎日が幸せなわけよ。で、会食はOKだから、その時に小麦を食べたら、それはそれで食べれたから幸せなんよ。基準を下げたら毎日めっちゃ幸せよ!」

なるほど。言語化はしてなかったが、この部分に共感していたことに気づいた。

別に、本棚を買えばいいのに、ブロックとそこらへんに落ちていた棚板で本棚を作ったりね。

それもすり替えか。どうすればかっこいい本棚ができるかなぁ~って、その瞬間には、確かに仕事のことは1mmも考えてないわ。

じゃあ、僕がグルテンフリー生活をしたから、仕事を忘れられるかと言われると、必ず市もそうではないと思う。しかし、彼のいうグルテンフリー生活のように、仕事のストレスを何かしらにすり替えられると、楽しく生きられるんじゃないかと思った。それが豊かということかなと。

これ、結構いい話だったな~